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快食ボイス731・破るなら知ってから──TPOと食の作法

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はじめに 今日は「異文化の食べ方をどこまで尊重するべきか」というテーマを掘り下げてみたい。 些細な話のようでいて、実は価値観が透けて見える問題だと思っている。 --- 日本の「汁かけご飯」という感覚 日本には「汁かけご飯」がある。 味噌汁をご飯にかけるような、猫まんま的食べ方である。 もちろん行儀がよい食べ方ではない。 だが、丼や茶漬けの文化がある以上「白ご飯の上に何かを乗せる」「ご飯を多少汚す」ということ自体が絶対的なタブーではない。 僕自身はあまり好きではないが、これは日本の食文化だ。 最近では、料理を豪快にご飯の上に乗せた写真をSNSに上げる人も多い。 時代によってマナーの感覚が変化するのも事実である。 --- 韓国ではなぜNGなのか しかし韓国では事情が違う。 ご飯の上におかずを乗せたり、汁をかけたりするのは基本的にNGである。 理由を理屈で説明するのは難しい。 文化だからである。 実際、韓国ではご飯はステンレス製の蓋付き容器に入って提供される。 しかもぎっしり詰まっている。 物理的に上に何かを乗せる構造ではない。 加えて、器は熱くて手に持てない。 日本の茶碗文化とは設計思想そのものが違う。 この時点で「文化が違う」ということがよくわかる。 --- 東アジアでも統一されていない さらにややこしいのは、中国ではご飯の上におかずを乗せても問題にならない地域が多いということだ。 同じ東アジアでも統一されていない。 文化とは、驚くほどローカルである。 --- 「ここは日本だから」は成立するのか ここで出てくるのが、 ここは日本だから韓国のマナーに従う必要はない という理屈である。 確かに、日本の店であればある程度のローカライズは起こる。 器が日本式であれば、扱い方も変わるかもしれない。 だが、その論理を採用するのであれば、外国人が日本料理を日本式で食べなくても文句は言えない。 握り寿司をフォークで突き刺して食べても、認めるべきということになる。 しかし多くの日本人は、そこに違和感を覚えるだろう。 箸が使えないなら、寿司は手で食べればよい。 それはむしろ正式に近い食べ方である。 つまり、自分が他文化を軽視するなら、自文化も軽視される覚悟が必要になる。 --- 立て膝と正座 姿勢にも文化差がある。 韓国では立て膝で食べるのが正式な場面もあるが、日本でやれば驚かれる。 一方、日本の正座は欧米では「罰を受ける姿勢」に見えることがある。 僕はもう正座ができない。だが、正座をする人を否定する気はない。 できないことと、文化を否定することは別である。 --- 刺身とわさびの話 日本の中にも同様の問題はある。 ある店で刺身が出たとき、粉わさびを全部醤油に溶かして食べようとした人がいた。 僕は「刺身の上に少し乗せた方が風味が立つし、醤油を汚さない」と伝えた。 すると、 ここはそんな高級店だったのか と言われた。 だが、これは高級かどうかの問題ではない。 醤油を汚してしまえば、生姜で食べる魚が出てきたときに対応できない。 わさびの風味も飛ぶ。 つまり、より美味しく食べる合理性の問題なのである。 「安い店なら適当でいい」という発想は、食に対する姿勢の問題だけではなく、人間関係にも当てはまる。 僕はその人の人間観まで透けて見えると思っている。 --- ルールは破っていいが、理解してから 僕が言いたいのは、厳密に守れということではない。 知っていることが重要なのである。 交通規則と同じだ。 高速道路が80キロ制限だからといって、全員が厳密に80キロで走っているわけではない。 だが、制限速度を知らずに運転するのと、理解した上で判断するのでは意味が違う。 ルールを知らなければ、破り方もわからない。 食文化も同じなのだ。 --- 面倒でも、まず知る 確かに面倒だ。 各文化のマナーをすべて把握するのは大変だ。 だが、知らなければTPOでの使い分けもできない。 知っていてあえて崩すのは自由である。 知らずに雑に扱うのは、単なる無関心である。 僕は、まず知る努力をすることが大切だと思っている。 食べ方という小さな所作の中に、文化への敬意や人間性が現れるかもしれない。 皆さんはどう考えるだろうか。
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