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快食ボイス734・山菜は天ぷらだけじゃない——僕と山菜の向き合い方

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春は、産直市から始まる 三連休の最終日。 こんな季節のいい連休に、わざわざ僕の話を聞く人は少ないだろうと思いつつ、明日から仕事という人も多いはず。 ついに山菜が出始めたので、今日はその話をしてみたい。 産直市で天然のフキノトウを見つけ「ああ、春が来た」と感じたのだ。 僕は栽培物は買わない。 買うのは地元産の天然物だけだ。 香りも、アクも、力強さもまるで違うからだ。 --- 僕のフキノトウ味噌の作り方 この作り方は、もう20-30年変わっていない。 誰かのレシピだったのか、自分のオリジナルなのかも、今となってはわからない。 ただ、ずっとこのやり方で作ってきた。 ① 下処理 天然物なので、汚れや虫食いがある。 紫がかった外側のガクは、もったいないが外す。 香りが弱いし、汚れも多い。 サッと洗い、水を切る。 ② 刻んですぐ炒める テフロンのフライパンに、やや多めのオリーブオイルをひく。 油が少ないと、アクが溶けない感覚がある。 フキノトウは刻んだ瞬間からアクが出る。 だから、刻んだそばからフライパンへ入れていく。 大きさは厳密に揃えなくていい。 むしろ不揃いなほうが、食べたときのアクセントになる。 全体がしんなりし、油が回るまで炒める。 ③ 味噌を練る 火を止め、麦味噌を加える。 少量の日本酒を加え、シリコンヘラでしっかり練る。 再び弱火にかけ、砂糖を加える。 僕はグラニュー糖を使う。 料理で砂糖をほとんど使わないので、いっそ雑味のないすっきりした甘みを選ぶ。 きび糖や黒糖も試したが、雑味が多くてキレが弱い。 ここは分量指定ができない。 味噌の塩分も種類も違うので、味見をしながら調整してもらうしかない。 ④ 卵黄で仕上げる フキノトウ、麦味噌、グラニュー糖。 すべて主張が強い。 塩気も立ち、コクが足りない。 そこで卵黄を加える。 これは日本料理でいう「玉味噌」の技法である。 卵黄が塩角を丸め、コクを出す。 一個か二個かは、全体量次第。 よく練り、しっかり加熱すれば完成だ。 僕のやり方は、アクも香りも強い。 その強さを卵黄でまとめる。 パンチはあるが、荒々しさは整える。 そんな味噌である。 --- 山菜は、アクを抜きすぎない 山菜は、アクこそが個性だと僕は思っている。 フキノトウを下茹でしてアクを抜く方法もあるが、それでは春の力が薄れてしまう。 タラの芽は天ぷらだけではない タラの芽は「山菜の王様」と言われる。 天ぷらは確かに美味しい。 しかしぶっちゃけ、面倒だ。 おすすめはソテーだ。 バターで軽く焼くだけでよい。 少し開いた芽でも問題なく、むしろ香りが立つ。 天ぷらより簡単で、十分に旨い。 コゴミは優等生 コゴミは、茹でるだけで食べられる。 ぬめりとシャキシャキ感。 値段も手頃で、調理も簡単。 産直市で見かけたら、まず買って損はない山菜だ。 ワラビは上級者向け ワラビは重曹でアク抜きが必要。 量を間違えると溶ける。 手間もかかる。 これは少し慣れてから挑戦すればいい。 コシアブラという女王 コシアブラは、タラの芽と同じウコギ科。 「山菜の女王」と呼ばれる。 広島ではまだ知名度が低く、比較的安い。 天ぷらもよいが、僕は断然「コシアブラご飯」だ。 さっと茹で、刻み、炊き立てご飯に混ぜ込む。 鰹節や少量のめんつゆを加えてもよい。 このご飯を食べると、胸が清々とする。 山菜料理の中でもトップレベルだと思う。 --- 産直市は朝一で行け 山菜はスピード勝負だ。 総じてスーパーに良い山菜は並ばない。 狙うなら産直市だ。 そして、行くなら朝。 昼では売り切れている。 みな、この季節を待っているからだ。 --- 春は短い 山菜の季節は、あっという間に終わる。 アクを怖れず、香りを楽しむ。 強さを、そのまま受け止める。 それが春の味だと、僕は思っている。
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