快食ボイスプラスを録ろうと思っていたが、イランの問題について記録しておきたい。
だが、その前に少し与太話をさせてほしい。
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35,000円のグラインダーを買った
現在、物価が激しく上昇している。
インフレは、生活のあらゆる場面に影響を及ぼしている。
僕は一年以上、珈琲豆のグラインダーを買うかどうか検討していた。
コーヒーの味を決定的に左右するのは、実は抽出器具よりも「粉砕」だ。
粒度の均一性が味の輪郭を決める。
これまで使っていたのはセラミック刃のミルだったが、技術革新が起きており、優れた製品がたくさん出ている。
検討の末、選んでいたのがTIMEMORE Bricksである。
価格は3万円台。
しかし改めて調べると45,000円で販売しているサイトが増えていた。
おそらくインフレの影響で、在庫分は35,000円で出しているところも、次の入荷分からは45,000円になると予想された。
高市さんの政策を鑑みるにインフレは止まる見込みがなく、早晩5万円台に乗る可能性も高い。
「豆を粉にするだけの機械」に3.5万円。
冷静に考えれば贅沢品だ。
だが、コーヒーは粉にした瞬間から酸化が進む。
豆で買うなら、良いグラインダーは本質的な投資である。
思い切って購入した。
結論から言うと、素晴らしい買物だった。
豆の個性は同じなのに、抽出される「本質的な部分」が明確になる。
雑味が整理され、輪郭が澄む。
高かったが、良い買い物だったと思う。
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イランという特殊な国家
さて、本題である。
イランは、単なる「イスラム国家」ではない。
イスラム法学者が国家の最高権威を持つ体制を敷く、極めて稀有な国である。
最高指導者は亡くなったハーメネイー師。
その前はホメイニー師だった。
しかも重要なのは、イランはアラブ国家ではないという点だ。
イラン人はペルシャ人であり、言語もペルシャ語である。
同じくイスラム圏だがトルコも、アラブとは民族的にも言語的にも異なる。
「中東」という括りは、実態を単純化しすぎる。
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暴力は消えない
問題はここからである。
どんな体制であれ、他国から一方的に指導者層を攻撃されるという記憶が、国民感情に残らないはずがない。
たとえば広島。
僕たちは原爆を忘れない。
第二次世界大戦をどう評価するかは別として、被害の記憶は残る。
80年経っても消えていない。
同様に、ウクライナはスターリン期の大飢饉を忘れていない。
韓国も、中国も、歴史の積層を抱えている。
理解していることと、受け入れられることは別問題である。
「分かっている。でも許せない」
この感情は世代を越えて継承される。
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100年では消えない
ヨーロッパを見ても同じだ。
古代ローマ期、ユリウスカエサルが著した「ガリア戦記」には、ローマ人とガリア人、ゲルマン人の争いが記されている。
ガリアは後のフランス。
ゲルマンは後のドイツ。
両国は近代まで対立を繰り返した。
さすがに紀元前の争いを直接持ち出すことはないが、長い敵対の歴史は確実に文化の底流に残っている。
2000年経てば薄れるのかもしれない。
だが100年では消えない。
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三枚舌外交の重み
パレスチナ問題の根にあるのは、イギリスの三枚舌外交である。
まだ100年ほどしか経っていない。
歴史的責任は、時間が経っても蒸発しない。
むしろ文書が残り、記録が共有される現代では、半永久的に参照され続ける。
ナチス・ドイツの問題がそうであるように。
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指導者の時間軸
各国の指導者は、任期単位で物事を判断する。
有権者も同様である。
だが、暴力の帰結は100年単位で残る。
短期合理と長期負債。
ここに大きな非対称がある。
ではどうすればよいのか。
核武装が解決かと言われれば、それも違う。
正解は僕にもない。
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日常と歴史
僕はインフレを見越してグラインダーを買った。
価格が上がる前に判断した。
だが国家の判断は、価格改定とは違う。
一度の武力行使は、100年分の感情負債になる可能性がある。
また一つ、未来に残る記憶が積み上がったのかもしれない。
それが悲しい。