佐和山城は、残念な城です。
天守は残っていません。石垣も少ない。登城口は少しわかりにくく、彦根城の近くにあるため、観光の主役を奪われがちです。
けれど、その残念さこそが佐和山城の魅力です。
佐和山城は、失われた城です。だからこそ、想像する余白があります。石田三成の夢、関ヶ原の敗北、彦根城への時代の移り変わり。そうした歴史の流れが、山の静けさの中に沈んでいます。
華やかな城を見たいなら、彦根城へ行けばよいでしょう。
けれど、歴史の影を歩きたいなら、佐和山城へ登る価値があります。
そこには、勝者の物語だけでは語れない、もう一つの彦根があります。
佐和山城は、何もない城ではありません。
失われたものが、静かに語り続ける城なのです。
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