「お父さんの会社、僕が継ぐよ」
18年口頭で伝えても曖昧な返事しかなかった息子が、ある経営者にそう言ったのは、1冊目の本が書店に並んでから2ヶ月後でした。
変えたのは、200ページの本だったのです。
■ なぜ口頭で18年伝わらないものが、1冊で腹に落ちるのか
経営者の理念は、毎日聞かされる息子や幹部社員にとって「またその話か」になっています。口頭の理念には3つの限界がある。風化すること。聞き手の状況で受け取り方が変わること。そして「親が個人的に思っているだけの話」として処理されること。
書店という第三者の場に並んだ瞬間、理念は「個人の思い込み」から「社会が価値を認めた経営思想」へ格上げされる。同じ言葉でも、出典が変わると重みが変わるのです。
■ 156冊の現場で見た「出版後30〜90日」の4つの変化
18年・156冊の現場で、創業ストーリーや経営理念を軸に出版された経営者から、共通して聞く話があります。
ひとつ、後継者候補が本を手に取る。口頭の説教は避けても、200ページの本は読む。
ふたつ、取引先が長期取引の判断材料にする。
3つ、事業承継期の融資審査で、商業出版が経営の継続性を示す客観資料になる。
4つ、経営者自身の腹のくくり方が変わる。
■ 言語化されていない資産が、承継期に何を起こすか
明日あなたが経営から離れるとき、後継者は「なぜこの事業を続けるべきか」を自分の言葉で語れるでしょうか。「困ったとき社長ならどう判断したか」を、社内の誰かが確信を持って語れますか。
これが言語化されていないと、後継者は毎日迷う。迷う後継者を見て取引先と金融機関は不安になる。不安が伝わって、優秀な社員が離れていく。
1冊の本に整理されているだけで、この連鎖は止まります。
私が18年前に出した『話術!虎の穴』は、いまも毎月仕事を連れてきます。事業承継でも同じです。今日出す1冊が、10年後、20年後の会社の姿を決める。
「いずれ書きたい」では遅い。承継のタイミングに間に合わなければ、複利の起点が失われるからです。
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