1人。
これから1冊目を出す経営者が、企画書を書き始める前に固めるべきは、たった1人の顔です。
「できるだけ広い読者に届けたい」——1冊目の経営者の多くが、ここでつまずきます。広く狙った本ほど、書店の棚で誰の目にも止まらない。156冊の現場で、私はこの構造を何度も見てきました。
逆説的ですが、ターゲットを1人まで絞り込んだ本だけが、結果として広く届きます。深く刺さるものが、広く届く。これが出版という装置の構造です。
今回のエピソードでは、紙1枚に書き出すべき3つの軸をお話しします。
軸1は属性。45歳・歯科医院院長・開業7年目のように、履歴書を書く粒度で。
軸2は課題。「新規患者が増えない」ではなく、「自費診療の予約が月3件で止まっている」というレベルまで。
軸3は状況。その人が本を手に取る場面はどこか。書店のどの棚か、Amazonのどの検索ワードからか。
この3軸が紙1枚に書かれていると、編集者との打ち合わせが「誰に何を届けるか」を巡る議論ではなく、「その人にどう届けるか」という議論から始められます。1冊目で多くの経営者が時間を溶かすのは、この前段の議論です。
ターゲットが決まると、タイトル・帯・配本書店・献本リストまで連鎖的に決まっていきます。紙1枚を埋めるだけで、刊行から90日先までの動きが見通せる。
私が18年前に出した『話術!虎の穴』は、今も毎月仕事を連れてきます。当時、たった1人の読者を思い浮かべて書いたから、今も特定の誰かに刺さり続けているのです。
1冊目の経営者が最初に握るべきは、企画書でもタイトルでもなく、この紙1枚です。
ターゲット設計の紙1枚を、あなたの事業に当てはめてどう描くか——15分でも話せば方向性は見えます。
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