最近、腎臓の健康について心配されている方からご相談を受けることがあります。塩分や脱水に気をつけることは大切ですが、生活習慣の方向性は人によってさまざまです。今回は、対照的なお二人の患者さんの例から、腎臓と向き合うためのバランスについて考えます。
ケース1:運動の頑張りすぎと腎機能への影響
ストイックに筋トレやダイエット、フィットネスに励む方がいらっしゃいます。
糖尿病の治療薬の影響で腎臓から糖の排泄が増え、膀胱炎などを起こしやすいケースもありますが、腎臓保護のためにその薬が使われることもあります。
しかし、ここで注意が必要なのが「運動のやりすぎ」です。腎機能が気になる方が過度な運動をすると、筋肉が壊れてクレアチニン値が上がり、かえって腎機能の低下を招くことがあります。
目安としては、「筋肉量や運動量は人それぞれ違うため、きつい運動ではなく『気持ちいい運動』にする」ことが大切です。特に夏の脱水状態での運動は腎臓に大きな負担をかけるため注意しましょう。
ケース2:食生活の乱れと体に現れるサイン
一方で、食事や健康法に関心が薄く、制限を嫌う方もいらっしゃいます。
例えば、お昼ご飯は菓子パン、朝は食パンですませ、タバコも吸うという女性のケースです。この方は皮膚の痒みや掌蹠膿疱症(手のひら・足の裏の皮むきや水疱)、全身の発疹といった症状が出ていました。
制限をすることがストレスになるため、「好きなものを食べさせてほしい」という思いがあり、これまでの生活を変えずに過ごされています。
自分に合った「ちょうどいい」バランスを見つける
ご紹介したお二人は、一見すると「ストイックに頑張る人」と「制限したくない人」で正反対に見えますが、どちらも腎臓に負担をかける生活習慣を持っています。
血液検査の数値にまだ出ていなくても、体にはすでにサインが現れていることがあります。漢方では症状から体の状態を読み解くため、数値がギリギリセーフのうちから予測して対策を立てることが重要です。
ストイックすぎても体に負担がかかり、かといって何も制限しないのが本当の幸せとも限りません。40代以降は特に体の回復力が下がってきます。
「ある程度ストレスや面倒なこともありつつ、自分が気持ちよくいられる着地点」を見つけること。そして、心身の「ちょうどいいバランス」を探していくことが大切です。