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快食ボイス683・居酒屋が戻らない理由――数字で見る飲食店の現在地

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最近、飲食店の閉店が増えている気がする、という話をしてみたい。 例年12月は閉店が多い時期ではある。 家賃や各種契約の更新タイミングでもあり、年を越す前に区切りをつける店も多い。 さらに年明けの2月は外食需要が冷え込みやすく、「年をまたぐより、ここで」という判断が働きやすい。 ただ、それを差し引いても、今年は少し多い。 これはあくまで体感だが、感覚だけで片付けたくなくて、数字を追ってみた。 --- 飲食店は、まだコロナ前に戻っていない 経済産業省の外食産業分析を見ると、2019年(コロナ前)を100とした場合、2024年時点の飲食店・飲食サービス業は90%にとどまっている。 つまり、まだ10%戻っていない。 https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/hitokoto_kako/20250313hitokoto.html?utm_source=chatgpt.com 一方で、第三次産業全体ではすでに100%を超えている。 宿泊業に至っては120%まで回復している。 この数字を見ると、飲食店の回復の遅さが際立つ。 --- 圧倒的に厳しいのは「居酒屋」 業態別に見ると、差はさらに鮮明だ。 ファーストフードは2015年比で120%超。 喫茶店、食堂、レストランはおおむね9割台まで戻している。 しかし、居酒屋(パブレストラン)は6割未満。 58〜59%程度で負けっぱなしだ。 これは正直、かなりきつい。 --- インフレと実質賃金の問題 理由はシンプルだ。 インフレによって、仕入れ価格、光熱費、家賃、すべてが上がっている。 飲食店は価格に転嫁しなければ、続けられない。 しかし、店を支えている給与生活者の実質賃金は伸びていない。 名目賃金はわずかに上がっているように見えても、そのお金で買えるものは減っている。 しかし、電気代や最低限の食費は削れない。 真っ先に削られるのが、外食になる。 これは日本だけでなく、アメリカやイギリスでも同様の現象が起きているようだ。 --- 解決策は「賃上げ」と「インバウンド」だが 経産省のレポートでは、期待される要因として「賃上げ」と「インバウンド」が挙げられている。 ただ、賃上げは時間がかかる。 10%、20%と一気に上げられる企業はほとんどない。 しかも賃金は上げ下げされると、生活設計が成り立たない。 一方、インバウンドも地域差が大きい。 東京、京都、大阪ならともかく、 広島クラスでは、飲食店全体を支えるほどの力にはなりにくい。 --- 飲食店を支えているのは、結局誰か 結局、飲食店を支えているのは中間層の庶民である。 一部、高額所得者が支える店もあるが、数は少ない。 ほとんどの店は、日常の外食をする人たちによって成り立っている。 その層の余裕が戻らない限り、飲食店の本格的な回復は難しい。 --- それでも応援はやめない 状況はかなり厳しい。 しかも、この状態が年単位で続く可能性がある。 それでも、これまでも淡々と応援してきたし、これからもそうするつもりだ。 ただ、本来なら歴史を紡ぐべき優良店が閉店している事実は、本当に辛い。 それが、今回あらためて数字を追って感じた、率直な実感だ。
2時間前
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