00:00
-00:00

快食ボイス679・人生を一生懸命やっている姿は、それ自体がアートだ

4
今日は映画とか、小説とか、音楽とか、そういう様々な芸術作品についての話をしてみたい。 それらの作品を前にしたとき、作り手の思いを、私たちはどこまで汲むべきなのか。 この話は料理にも通じる話だと思っている。 --- オペラという、あまり馴染みのない世界 今日、アステールプラザで上演された「てかがみ」というオペラを観に行ってきた。 友人の山岸玲音さんが出演されるので、せっかくならと足を運んだ。 正直に言えば、オペラは僕にとって馴染みが薄い。 歌うように喋る。喋るように歌う。 ミュージカルに近いとも言えるが、やはり独特のお約束事がある。 舞台は基本的に変わらない。 その限られた空間の中で、音楽、効果音、セリフ、演技によって、観る側に風景を想像させる。 その技術と集中力には、素直に「すごい」と感じた。 --- 観客層が語る、芸術との距離感 客席を見渡すと、観客の大半は女性で、年齢層も比較的高めだった。 オペラという文化が、どの層に強く根付いているのかが、なんとなく見えてくる。 一般論ではあるが、芸術的なものへの感性は、男性より女性の方が広がりを持っているように思う。 料理においても、その傾向を感じることが多い。 オペラもまた、そういう文脈の中にあるのかもしれない。 --- 子どもたちが、すでに「オペラ」をやっていた 印象的だったのは、児童合唱の存在である。 彼らの立ち居振る舞いは、驚くほど「オペラ的」だった。 仕草、間、表情。 それらを「型」として理解し、身体に落とし込んでいる。 きっと彼らは、オペラが好きなのだろう。 好きだから、自然と身についている。 --- 人は、役を変えると別人になる 出演者は20数名ほどだったと思う。 全員が一定以上のクオリティを保っており、役が変わると、同じ人間とは思えないほど印象が変わる。 衣装と演技だけで、ここまで人は変わるのか。 最後まで「本当に同じ人なのか」と混乱するほどだった。 それだけ、オペラの世界に没入しているということなのだろう。 --- 作品のメッセージと、私が受け取ったもの 「てかがみ」という作品が何を伝えようとしているのか。 それは、きちんと伝わったし、素晴らしいメッセージだと思った。 だが僕が強く感じたのは、そこではなかった。 自分がやりたいことを、ただ一生懸命やっていること。 それ自体の美しさだ。 --- 料理が好きなのと、同じだった 僕が外食や料理を好きで紹介しているのは、誰かに頼まれたからではない。 1996年頃から、ただ好きで続けてきただけだ。 料理というのは、普通の人々が生活の中で知恵を絞り、工夫し、歴史と文化を紡いできた結果だ。 そこに僕は、力強い美しさを感じる。 今日オペラに立っていた人たちも、それと同じなのだと思った。 --- 理解よりも、「どう感じたか」 作品を観るとき、作り手の意図や背景を重視する人は多い。 それは正しい楽しみ方だと思う。 ただ僕は、自分がどう感じたかを大切にする。 音楽は、聴くときの自分の状態によって、まったく違って響く。 思春期に聴いた曲が、ずっと残り続けるのも、同じ理由だろう。 作品は、ある地点で作り手の手を離れ、受け取る側の人生と交わり始める。 --- 広島にある、小さくて確かなエコシステム 今日は満員御礼だった。 当日券はなく、会場はしっかりと埋まっていた。 オペラを本気でやっている人たちがいて、それを観に来る人たちが、ちゃんと広島にいる。 大きくはないが、確かな循環がそこにある。 それは、とても美しい構図だと思う。 --- 好きでやり続けるということ 自分が好きでたまらないから続けている人。 それを応援する人。 この関係性そのものが、もうアートなのではないか。 一生懸命になれるものがある人生は、それ自体が美しい。 今日のオペラは、そんな当たり前で、でも忘れがちなことを思い出させてくれた。
1日前
おすすめの放送
stand.fmの無料アプリでもっと便利に
Google Play Store
App Store
about stand.fm
放送が更新されたらプッシュでお知らせされるので最新の放送を聞き逃さない。
about stand.fm
バックグラウンド再生で他のアプリを使用しながら、放送やライブが聴ける。
about stand.fm
放送やライブ、コミュニティでコメントが送れて配信者とコミュニケーションができる。
about stand.fm
アプリだけでかんたんに音声を収録して投稿できて音声の編集もできる。
jasrac
JASRAC許諾番号
9024598002Y31016
9024598004Y31016
nextone
NexTone許諾番号
000006134
© 2025 stand.fm, Inc.