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快食ボイス672・なぜ広島市民は山口県の山奥へ向かうのか──いろり山賊とは

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いろり山賊の夜に思ったこと 今日は、ついに「いろり山賊」に行ってきた。 以前、ジェネリックな山賊焼きを食べて、正直よくわからない、という話をした。 それを聞いて、Twitterで知り合った友人からこう言われたのである。 あれは一回行ってみなきゃダメです 自分でも言ったばかりだ。 リアルを知らずに語るのは違う、と。 現場・現物・現実。三原主義そのものである。 確かに行かなければダメだと思った。 --- ◆ 夜に行くべき場所という衝撃 昼のイメージでいたが、彼は言う。 いや、夜がいいんです。 あそこはエンターテインメントなんで。 たしかに着いてみると、真っ暗な峠に突然現れるライトアップされた巨大な装飾。 季節外れの鯉のぼり、城のような建物、巨大な看板。 遊園地のような異世界感。 なるほど、これは夜でこそ映える。 駐車場は満杯、30分ほど並んだ。 支払い後、自分で席を探す方式で、店内は空いているのにみんな外でこたつ。 寒い夜にこたつ。 なるほど、これも体験の一部なのだ。 --- 本物の山賊焼きと向き合う 頼んだのは山賊焼き、山賊むすび、餃子、漬物、そしてビールを一杯。 山賊焼きは、これまで食べた中で一番美味しかった。 皿に落ちたタレ、一味唐辛子、炭火の香り。 そして串と肉の密着具合。 蒸して後から串を刺した肉ではない。 生から刺し、遠火でじっくり時間をかけて焼いた肉だった。 胸肉側を食べたが、炭の香ばしさが全体に行き渡り、甘味がすっきりして悪くない。 炭火焼きというのが重要なのだろう。 --- 山賊むすびの存在感 山賊むすびは800円。 しかし海苔も悪くない、具材も悪くない。 さらに漬物の盛合せが本物の糠漬けだった。 たくわんは甘味が使われていたが、しっかり干してあるので悪くない。 --- 本物に触れることの意味 帰り道、考えた。 ジェネリックをいくら語っても、本物を知らなければ言葉は薄い。 便利さや効率の中で、私たちは「現場を省略する癖」を身につけている。 だが省略は、理解ではない。 寒さ、煙、ライトアップ、混雑、こたつ、炭火の匂い。 そのすべてを身体ごと受け取り、ようやく「山賊焼き」を語る資格が生まれる。 --- 終わりに いろり山賊は、単なる飲食店ではなかった。 あれは 「非日常を食べる場所」 である。 そして本物を知るという行為は、何歳になっても人生を豊かにする。 やっと僕は広島市民になれたのかもしれない。
1日前
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