NHKスペシャル『ヒューマンエイジ』を観て思ったことを語ってみよう。
https://www.web.nhk/tv/an/special/pl/series-tep-2NY2QQLPM3/ep/X814JPYVW4
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不老不死ではなく、不老長寿という未来
NHKスペシャル『ヒューマンエイジ』で取り上げられていたテーマは「不老長寿」。
SFで語られてきたように“永遠に死なない”わけではなく、老いにくく、長く健やかに生きるという方向の研究が今、本当に進んでいるらしい。
番組を見ながら思ったのは「人間は本当に老化をコントロールする時代に入るのかもしれない」という興奮と、「でも、それって社会の前提を全部変えるよね?」という戸惑いだった。
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人類の寿命は100年で倍に伸びた
番組では寿命の歴史のグラフも出ていた。
100〜200年前の平均寿命は42歳前後。
乳幼児死亡率の改善、医療技術の発達によって、今の世界平均は79歳。
日本はそのさらに上。
これはもう偉大な成果で、医療者に対する尊敬でいっぱいになる。
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それでも「遺伝子が持っている寿命」は38歳らしい
興味深かったのは、人間の遺伝子レベルで刻まれている“自然界の寿命”。
どうやら 38歳 前後なのだという。
つまり僕らは、生物学的寿命の倍以上を“延命して生きている存在”らしい。
ただ、いくらがんばって食事や運動に気を配っていても、やっぱり疲れは取れにくくなるし、回復も遅い。
老眼だって進む。
「ああ、これが“生物としての限界を越えている感覚”なのかな」と思ったりもする。
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老化をどう扱うか――研究は加速している
老化をコントロールして、健康寿命を延ばすこと。
これが「不老長寿」の本質として語られていた。
いちばん辛いのは、健康を失ってからの10年以上の“闘病の時間”だ。
自分の意志通りに体が動かなくなり、
尊厳に関わる部分まで他者の助けが必要になる期間が長くなる。
なるべくそこを短くして、元気なまま年を重ね、最後は“枯れるように”静かに終える。
これが多くの人が願う姿だし、僕もそうだ。
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不老長寿が実現した社会はどうなる?
ただ、ここからが本番の議論かもしれない。
もし多くの人が100歳まで元気に働けるようになったら──
定年は?
年金制度は?
老後の概念は?
社会の前提はすべて書き換えられる。
「働く期間」「教育のタイミング」「人生のフェーズ分け」
すべてが変わる。
単なる医学の問題ではなく、哲学・倫理・社会設計の話にまで広がっているのが“不老長寿”というテーマなのだと、番組を見てあらためて感じた。
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老いをどう受け入れ、どう越えていくか
僕自身、最近「回復の遅さ」をとても強く感じている。
いくら食事や運動に気をつけていても、自分の体がじわじわと変わっていくことは否定できない。
その現実を受け止めつつ、どう“老いていくか”を選ぶ時代に入ってきたのかもしれない。
不老長寿の研究は、単に寿命を延ばすためではなく、人間の尊厳や幸福のあり方を問い直す入口にもなる。
――そんなことを、NHKスペシャルを観ながら考えた。