令和8年度税制改正案は、「強い経済」と「生活の安心」の両立を掲げた抜本的な改革案である。
個人所得課税では、物価上昇や人手不足に対応するため、基礎控除等の合計を178万円まで引き上げ、いわゆる「年収の壁」を大幅に緩和する。これにより、全ての納税者の負担開始水準が引き上げられる。
投資促進策として、暗号資産(仮想通貨)を申告分離課税(20%)化し、損失繰越を認めることで、金融商品としての地位を確立させる。
法人税では、AI・量子・半導体などの戦略分野への研究開発減税を強化する一方、賃上げや投資に消極的な企業への租税特別措置適用停止も厳格化する。また、海外事業者によるEコマース等への課税逃れを防ぐため、プラットフォーム課税を導入し、公平性を確保する。
防衛財源確保のための増税措置を含みつつも、現役世代の手取り増と成長投資を優先した、経済構造転換への意欲的な内容となっている。