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快食ボイス822・イタリアンの料理人が麻婆豆腐を作るくらいのことを今やるべき

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大人気店に客がいなかった 昼飯を食べたあと、近くまで来たからと馴染みの店の覗いてみると客がいない。 それなら挨拶だけしとこうと思って店に入った。 平日はいつも客でいっぱいで、店主が一人で回しきれずにテンパっている、そういう店なのだ。 今日は土曜で、周りは製造業の工場ばかりだから休みで空いているのかな、と思った。 「お久しぶり!」と店に入ると「こっちはテレビで顔見とるけどな」とからかわれつつ、話をすると平日も客が減っているという。 メニューを見たが、値上げすらしていない。 これだけ多くの店が値上げしている中で、今でも700円あれば腹いっぱい食べられて、しかもちゃんとうまい。 そんな店が職場のすぐ近くにあったら、そりゃ通うに決まっている。 その店ですら客が減っている。 これが、僕には衝撃だった。 --- みんな、弁当箱を買い始めた なぜかと聞くと、みんな弁当に変わったのだという。 業者が届ける弁当ですらない。 弁当箱を買って、自分で詰めて持ってくる人が増えたらしい。 これは何度も言ってきたコストプッシュ型のインフレの帰結だ。 物の値段だけが上がって、手取りが増えない。 社会保険料がどんどん上がるから、増えた実感がないどころか、むしろ減っている気すらする。 僕も社会保険料と市県民税を今月末に一括で支払うが、考えると頭が痛い。 その店も、さすがに値上げしないとまずいと言っていた。 客単価750円で腹いっぱいになる料理を出していたら、そりゃ無理だ。 とはいえ、値上げすれば今残っている客まで離れかねない。 動くも地獄、動かぬも地獄、というところだろう。 --- 牛丼三社で、起きていること これだけ外食が減っているなら、定番の牛丼屋はどうなのか。 吉野家、すき家、松屋を調べてみた。 すき家は営業利益が大きく落ちている。ただ、これは2025年初めに異物混入の件があったので、そこからの落ち込みと見るのが妥当で、ひとまず別枠だろう。 吉野家も落ちている。 ところが松屋だけは落ちていない。なぜかと見に行ったら、ハンバーグ定食、トマトのチキンカレー、サムゲタン風スープ、ふわたまのうな丼と、高単価メニューをどんどん投入していた。 牛丼という土台は残しつつ、そういう一皿で客単価を上げて稼いでいるわけだ。 --- 牛丼以外で、稼いでいる 連結で見ると、すき家も吉野家も、むしろ売上は伸びている。 すき家は、はま寿司。 吉野家は海外事業と、はなまるうどん。 小麦粉は安いから、うどんはこういう厳しい時にこそ強さを発揮する。 なか卯も同じで、看板の親子丼は抜群だが、それ以外もどんどん増やしている。 牛丼専門店ではなく、中身を入れ替えていける総合店に静かに姿を変えて、収益性を保とうとしているわけだ。 つまり、お馴染みの牛丼そのものからは客が離れている。 でも、外食が嫌いになったわけではない。 みんな外食は大好きで、お金がないから行きたい店だけに絞っている、という行動変容をしているだけだ。 だとすれば、「行きたい」と思わせられるかどうか。 その流れに乗れるかどうかなのだ。 --- 思い出してもらえるか 大手町の麻婆豆腐専門店「辣辣」はいつも行列している。 味がいいのはもちろん、奥さんの仕切りが見事で回転が速い。 ときどき強めの物言いをされることもあるが、だからこそみんなテキパキ食べて、どんどん入れ替わる。 回転がいいから値上げせずに持ちこたえる、いい循環ができている。 あの奥さんのサービスは、僕はファインプレーだと思っている。 あの店は元々、段原でイタリアンをやっていて、出してみた麻婆豆腐が評判を呼び、鷹野橋に移って専門店にして化けた。 あの値段で、あの味で、しかも中毒性がある。 結局、どれだけ客に思い出してもらえるかだ。 そのためには、いろいろやってみるしかない。 --- 業態を、飛び越える 人間はどうしても過去の成功にとらわれる。 「これは昔から人気なんだ」という料理でも、潔くやめて新しい業態に切り替える。 だめならまた次をやる。 横川駅裏の「ニコイチマート」も、最初から人気店だったわけではない。 少し前に僕がnoteにあげた「江戸天」のカレー中華のレシピを「使っていいか」と聞かれたので「善吉」の鴉田さんに仁義だけ切っといてねと伝えると、もう既に店で出しているようだ。 あのフットワークの軽さだ。 ベンチャーで言うアジャイル、リーンスタートアップと同じで、小さく出して、当たらなければ作り直すか別を作る。 飲食店も起業であることに変わりはない。 同じ料理を出し続けて客が来ないのは、やはり厳しい。 突拍子もないものを、突然やってみる。 イタリアンの料理人が麻婆豆腐を作るくらいのことだ。 当てにいくのではなく、とにかく数をやってみる。 何が当たるかはわからないのだから。 松屋が牛丼屋なのにサムゲタンを出すくらいの、「俺は和食の料理人だ」「いや、フレンチだ」という枠すら飛び越えるアグレッシブさ。 今は、景気が戻るまで生き残れるかどうかの戦いに、もう入っている。 なりふり構わず、それくらいのことをやっていく必要があるのだと思う。
3時間前
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