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快食ボイス828・AIが道具にすぎないからこそ、知識の格差は増幅する

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ハーランドという突然変異 ワールドカップを見ていて、ハーランドという選手のすごさに圧倒されている。 異次元のヒーローが、突然現れたという感じだ。 彼の父親も、かつてノルウェー代表としてブラジルと戦い、勝ったことがある。 その息子が、再びワールドカップの舞台でブラジルを倒す。 これはもう物語だ。 面白いのは、彼がノルウェーの血を引きながら、生活の拠点はイギリスにあるということだ。 イングランド代表としてプレーする道もあったはずなのに、彼はノルウェーを選んだ。 ノルウェーは、この28年ほどワールドカップに出ていない。 そのチームを、ほとんど彼一人で引っ張り上げてしまった。 もちろん他の選手も素晴らしい。 ただ、本当にすごい選手が一人いると、周りがどんどんそれに引っ張られていく。 その典型を見ている気がする。 ネイマールはすっかり過去の人になった。 メッシやクリスティアーノ・ロナウド、エムバペといった現役のレジェンドに、真っ向から匹敵する存在が出てきた。 サッカー界に、突然、大谷翔平のような人間が現れたようなものだ。 大きなスポーツの大会では、こうした突然変異のような才能が、ふいに姿を現すことがある。 百年に一人という水準の天才を、同じ時代に、しかも遠く離れた場所からリアルタイムで見ることができる。 情報通信が発達したおかげだと思うと、いい時代に生まれたものだと感じる。 --- 電車で本を読む人が、いなくなった 僕は、電車の中で本を読むのが昔から好きだ。 本を読みながら、ふと顔を上げて景色を眺め、また本に戻る。あの時間がいい。 ただ、昔に比べて、電車で紙の本を開いている人は圧倒的に減った。 みんなスマホを見ている。 スマホで本を読んでいるのかもしれないし、ニュースなのかもしれない。 それはわからないが、形としての本は確実に減った。 そこで考えるのが、AIとのやりとりのことだ。 今、多くの人がAIを使って仕事を回している。 けれど、そのやりとりは、今のところ言語でしかできない。 指示を出すのも言語、返ってくる答えも言語だ。 だとすれば、この言語というものを、どれだけ精緻に扱えるか。 言葉の概念や区別を、どれだけ身につけているか。 いわゆる言語化能力が、そのまま効いてくることになる。 --- 本は万能ではない。それでも、知見は言語で伝わる 本は万能ではない。 畳の上の水練という言葉があるように、いくら泳ぎの本を読んでも、それだけで泳げるようにはならない。 株式投資の本を大量に読んだところで、それだけで儲かるようになるわけでもない。 ただ、一定の素養や基礎的な知識は、確実に積み上がる。 株で言えば、テクニカルとは何か、ファンダメンタルとは何か。 「落ちてくるナイフは拾うな」といった格言もそうだ。 これらは、過去に多くの人が大変な思いをした末に得た知見が、言葉として残されたものだ。 PERやROEといった用語も、なぜそんな言葉が生まれたのか、その向こう側には必ず理由がある。 それは誰かの知見であり、その知見に触れる手段は、やはり言語なのだ。 小説を読む人が減り、本もあまり売られなくなったと言われる。 けれど、僕はそこをあまり悲観していない。 物語は、一生かかっても読み切れないほど、すでに大量に生まれている。 名作と呼ばれるものだけでも読み切れない。 新しい物語がそれほど生まれなくても、ゼロになることはない。 --- いちばんコスパがいいのは、結局のところ文章だ 知識を得る手段は、動画も音声配信もいろいろある。 ただ、いちばん手っ取り早く、時間対効果が高いのは、どう考えても文章だ。 いちばんリーズナブルで、いちばん早い。 ある程度本を読んできた人なら、みんな同じことを感じているはずだ。 賢い人は、それがわかっている。 だからこれからも本を読み続けるだろうし、読むための本が尽きることもない。 過去の蓄積が、あまりにも膨大にあるからだ。 そういう人たちが、AIを使っていく。 漠然とした指示でも確かな答えが返るように、AIは進化していくのかもしれない。 けれど、小学生がどれだけ指示を工夫しても、大学入試の問題が解けるようにはならないだろう。 問題がどういう問題なのかを理解できなければ、AIに投げても意味がない。 答えらしき文字が出てきても、それが答えかどうかを判断できない。 それは、AIを使ったことにすらならない。 --- AIは道具にすぎない 多くの人が、AIを使えばいろんなことができるようになると言う。 けれど、言語を介してしかやりとりできない以上、言語を理解する力、言語を操る力、そして言語を使って概念を組み立てる力がいる。 必要条件と十分条件の違いのような抽象的な区別がわからなければ、使いようがない。 頭のいい人たちは、たくさん本を読み、そういう力を使いこなして、AIに適切な指示を出していく。 「やばい」「まずい」といった言葉だけでは、AIは動かない。 ある程度きちんと指示しなければ、まともな答えは返ってこない。 AIは、あくまで道具だ。 道具は能力を増幅させるが、誰もが同じように使いこなせるわけではない。 むしろ、今の形のままなら、知識の格差はこの道具によって増幅されていくのではないか。 賢い人の生産性が爆発的に上がる一方で、言葉を十分に扱えない人は、AIが手足を持たないがゆえにできない仕事を担っていくことになるのかもしれない。 世の中には、僕など話にならないほど大量に本を読んでいる人がいる。 若い人にもいる。 そういう人たちは、きっと僕よりずっと上手にAIを使いこなしている。 これから彼らはどんどん生産性を上げ、成果を出していくだろう。 そして、その逆もまた然りではないかと考えている。
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