【第3章・静かな異議】「おかしいな」と感じたとき、大声で叫ぶ必要はありません——この回のテーマは「静かな異議のとなえ方」。
感情的にならずに意見を伝えたい方、クリティカルシンキングや人間関係に関心のある方へ。
マスコミへの違和感を語るとき、照子がずっと気をつけてきたことがあります。
それは、感情的に敵をつくらない、ということ。
「メディアは全部嘘だ」「テレビは悪だ」と叫ぶのは、じつは簡単です。
強い言葉で断罪すれば、その瞬間は胸がすく。
同じように怒っている人が集まってきて、仲間ができた気にもなる。
けれど、それでは自分もまた逆の方向に偏ってしまう。
「あちらが偏っている」と言いながら、自分も偏っては、何も変わらない。
ただ対立が深まり、憎しみに憎しみで返すループから抜け出せなくなるのです。
照子がやりたいのは、罵倒ではなく、視野を広げるお手伝い。
「あなたが見ている情報は、世界の一面ですよ」「別の角度から見ると、また違う景色が見えますよ」。
相手を打ち負かすためではなく、一緒にもう少し広く見るために、そっと差し出したいのです。
強い言葉は人の目を引き、過激なほど拡散もされ、数字も伸びる。
でも、人を分断し、冷静さを奪ってしまう。
怒りは伝染するのです。
だから照子は、あおる発信者ではなく、落ち着かせる発信者でありたい。
真実を伝えることと人を怖がらせること、異議をとなえることと誰かを攻撃することは、まったく別。異議はとなえる、でも人は攻撃しない。
パチパチ燃える花火はきれいだけれど、一瞬で消えてしまう。
ストーブの火は地味だけれど、長く部屋をあたため続ける。
照子がなりたいのは、花火ではなくストーブのほう。
強い言葉で集まった人はもっと強い言葉を求めて離れていくけれど、静かな言葉でうなずいてくれた人は、長くそばにいてくれる。
急がなくていい。派手でなくていい。
静かに、けれどぶれずに、同じ火を灯し続ける。
静かな声は、弱い声ではなく、ぶれない強さの証です。
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