1. 行動科学とは
人間の行動を科学的に研究し、法則性を解明しようとする学問で心理学や社会学や人類学や精神医学などが含まれる。これを日常のヒューマンサービスに取り込んだのが応用行動分析学。
・徹底的行動主義…スキナーにより1945~1950年代に提唱された行動の科学の哲学。
・仮説構成概念(『無意識』『愛着』『象徴』『~タイプ』など)を取り扱わない。刺激と行動の随伴性(行動随伴性)を扱う。ターゲットは“心”のように見えないものではなく、行動を扱う
・研究と実践の目的…仮説検証ではなく予測と制御
・節約性の原理…仮説のために仮説を加える時間的余裕があるならば、介入と効果評定を繰り返すべきで実践的。
×「子どもはAタイプ養育による愛情不足のせいで非行に走っているのだろう。それはこれまでのアタッチメント形成がうまく行かないためであり、アタッチメントを形成するには甘やかしを減らして受容的態度を持つべきである…」
○「子どもが癇癪に走るのは直前に母による叱責があるためであり、叱責の際に『~するとよいでしょう』と伝えたところ、子どもの癇癪が減るかどうか見てみましょう」
2.徹底的行動主義の流れ
① 実験的行動分析学
② 応用行動分析学…社会的に重要な行動に焦点化し、その制御変数を明らかにすることを目的としている
のそれぞれを独立に体系化してきた。
【徹底的行動主義の発展】
・Skinner (1945)→D. M. Baer, Wolf, & Risley (1968, 1987)→ Cooper, Heron, & Heward (2007, 2020)
・ヒューマンサービスの関連領域の先端的な研究成果を吸収し、統合しながらアップデートする
・対立する意見に関しては研究・実践の成果を明確に示し続ける
3.結果の再現性
・社会的に重要な行動を増やしたいとき → どんな介入で、どのような効果が得られたか(あるいは得られなかったか)【介入と効果評定を繰り返して事実を蓄積していく】
・介入とその条件に対応して行動が大きく変化することが、繰り返し示されてはじめて、予測と制御ができたということになる
研究方法に記載されている手続き通りに実践と研究が実施できたかについての指標であるインテグリティ(integrity)の評定を行う
4.支援は現場でおきてんだ!
介入のプロセス
【可能性の検討】
・支援を現場で行う時には介入手続きを緻密にする、フローチャートにする
→ 効果不十分やネガティブな結果となった場合、条件やパラメータを変えて次の研究と実践につなげる
・独立変数を、パッケージ変数、一要素変数、パラメータなどの包括性の度合いにしたがって分けておく
① 介入効果を最大化するプログラムパッケージを作る
→ 独立変数の集合と従属変数の集合が関数関係にあることを示す。(十分条件を明確化)
② 効果を得た支援方法の構成要素
③ パラメータ(例えば、1週間の介入時間数)を操作
【介入の結果を確かめる】
・インタビュー
・行動チェックリスト
・各種検査の質問紙項目
相関分析や妥当性の確認ができるものであれば活用する
・事前・事後でスコアが変わらなくても、介入によってが自発的にできた、目的地までの歩行ができた、対人相互作用の回数が増えた、などの事実
・対象者や関係者あるいは映像を見せて第3者にたずねる社会的妥当性評定・満足度評定
※ アセスメントは、支援を受ける側の行動レパートリーや支援する側の 研究者効果などによって影響を受け、実際の行動とはちがってしまうことも考慮に入れた上で、結果を分析する。
【参考文献】
山本(2021)徹底的行動主義と応用行動分析学――ヒューマンサービスの科学・技術の共通プラットホーム, Japanese Journal of Behavior Analysis 2021, Vol. 35, No. 2
【ベストコメント賞】
・ラジオっぽい
・ラジオ感出ました
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