【その②】応用行動分析学を学問にしたもの
応用行動分析学の学問としてのキッカケ
・1968年D. M. Baer et al. 「応用行動分析学7大原則」
・1987年 再検討
・7つの概念をひとつずつが熟達化、流暢化し相互不可分に。
1.7原則の5~7
⑤系統性:研究者・実践者との共通言語個別的な支援プログラムであっても、行動分析学の法則にもとづいた用語と概念を用いる。用語と概念は、対比的、論理的、節約的なので、仮説構成概念を入れ込む余地はない。共通の用語と概念を活用が応用行動分析学が発展してきた。
・用語を正確に、かつ流暢に使えるようになることが必要である。研究と実践の行動随伴性の中で習得し、常に活用する。応用行動分析学を専門にしていない、実践者に活用してもらい、その用語を使うと介入効果が上がることを経験してもらう。
⑥ 効果:独立変数を緻密に組み立て介入することが本筋である。統計で有意差が出ても、大きな効果を得て、問題解決できていなければ意味がない。
例)喫煙、重度行動障害行動などは限りなくゼロにすることが目標になる。
・傾向(傾き)、切片、 変動性などで分析する。介入と同時に大きな変化を示した、ベースラインの傾きの外挿を超えた傾向が得られた、変動性がなくなり安定した、など目的に応じて、柔軟に効果評価指標を工夫し、活用する
⑦ 汎用性:新しい環境の構築
介入効果の一般性や汎用性を目的にするならば、あらかじめ般化促進技法の導入と効果評定も含める。作業仮説通りにならなくても、独立変数の操作が緻密で再現可能であれば、意味のあるデータとなる。
例)個別指導で、発達介入を行い、コミュニケー ション行動が獲得されたが、実際の幼稚園では獲得したコミュニケーション行動が出現しなかった
→【般化の失敗】&【環境整備が十分】を示す。「般化のないのはよい知らせ」
→ 般化しないときは次にどうするか決めて実行する。
→データが出たら事実を分析し、次の研究に
2.形態と機能
一般的には、現前にある症状、行動形態 (topography)に対応した介入をしがちであるが、徹底的行動主義では、言語行動は環境との相互作用すなわち言語行動の機能(function) の分析を徹底する。
例)「痛い」と訴えることの“機能” → 薬の要求? 治療者の注目ひき? ステレオタイプ の言語行動の繰り返し? (症状の訴えや叙述は、心の中の働きではなく他の行動と同じ法則による制御を受けている行動とみなす)
→ 【機能の観点から分析と介入】
・言語行動レパートリーがない、少ない場合は、その拡張と機能化、使用頻度の増加を目的としてターゲット行動とする。
・言語行動レパートリーがある場合は、言語行動を対人相互作用の中で的確に機能させることを介入の目的とする
3.内と外
・私的事象(内受容感覚刺激や内言など)…聞き手はアクセスできない
・公的事象(私的事象を生み出したと考えられる刺激、同時に現れている反応など)アクセス可能
【参考文献】
山本(2021)徹底的行動主義と応用行動分析学――ヒューマンサービスの科学・技術の共通プラットホーム, Japanese Journal of Behavior Analysis 2021, Vol. 35, No. 2
【ベストコメント賞】
オートファジー
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