はじめに
正月明けの月曜日、仕事始めという人が多いだろう。
そんな中、僕はどうやら風邪気味である。
1月2日の夕方、雪の中を1時間半歩いた。
ボタ雪が混じるような重たい雪が降る中だったので、思った以上に身体にこたえたようだ。
昨日の放送を聞き返してみると、鼻をすする音も入っており、すでにその頃から兆候は出ていたのだろう。
風邪薬を飲み、早めに治したいと思いつつ、今日はどうしても気になる話題がある。
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主権国家の大統領を拘束するという「無茶」
アメリカがベネズエラのマドゥロ大統領を拘束したというニュースを見て「かなり無茶だ」と感じた人が多いはずだ。
確かに、マドゥロ大統領には麻薬カルテルとの関係など、擁護しがたい疑惑がある。
ベネズエラ国内でも、彼の拘束を歓迎する声があるという指摘もある。
しかし、それとこれとは別の話である。
国民が喜んでいるからといって、他国が主権国家の大統領を勝手に拘束し、裁こうとしてよい理由にはならない。
アメリカの国内法がベネズエラに適用される、などという理屈は、どう考えても筋が通らない。
これを許してしまえば、「何でもあり」になってしまう。
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豊かだった国、停滞した国
ベネズエラは、かつて南米で最も豊かな国の一つだった。
シモン・ボリバル・ユース・オーケストラからグスターボ・ドゥダメルが世界に出てきた時代、その背景には国家の豊かさがあった。
しかし社会主義体制への移行後、停滞が続き、今では南米で最も豊かな国はチリだと言われるようになっている。
国家の選択が、長い時間をかけて国の姿を変えてしまうという典型例だろう。
だが、だからといって外部から力で「是正」してよい話ではない。
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アメリカの焦りと歴史の既視感
トランプ大統領には、中間選挙を前に「実績を作らなければレームダックになる」という焦りがあるのかもしれない。
だが、歴史を学べば、こうした自己保身や短期的ロジックが、世界を大きな戦争へと押し出してきた例はいくらでもある。
第一次世界大戦も、第二次世界大戦も、決して「最初から大戦争だった」わけではない。
小さな無茶が積み重なり、引き返せなくなった結果だ。
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グリーンランド発言と地政学
さらにトランプ大統領は、グリーンランドを「ほしい」と言い始めている。
北極海を中心にした地図を見れば、グリーンランドが軍事的・地政学的に極めて重要であることは理解できる。
しかし、グリーンランドはデンマークの自治領である。
「戦略的に重要だからウチにくれ」という話が通るなら、それは武力による現状変更と何が違うのか。
ロシアがウクライナでやっていることと、本質的に変わらない。
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あれが許されるなら、これもいいだろう
国際社会がロシアの侵攻を止められていない現状を見れば「だったら中国もやっていいのではないか」という論理が生まれても不思議ではない。
実際、2026年は台湾侵攻の可能性が最も高い年だと、アメリカのシンクタンクは以前から分析している。
中国経済は減速しているが、それでも規模は大きい。
習近平国家主席も年齢を考えれば、「やるなら今」という判断に傾く可能性はある。
台湾の場合、中国にとっては「内政問題」と言い張れる余地がある。
香港のときと同じ構図だ。
国際社会は非難はしても、決定的な介入はできなかった。
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日本は「最前線」にいる
日本は台湾と国交を結んでいない。
国交を結んでいるのは中国である。
アメリカが日本を同盟国として重視するのは、価値観の問題だけではない。
ロシア・中国・北朝鮮という社会主義国家群に対する「防波堤」として、日本は極めて戦略的な位置にある。
つまり、日本はすでに最前線なのだ。
「憲法9条があるから何もしません」と言って済む状況ではない。
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年寄りの杞憂で終わるならいい
年を取ると、社会の行く末を悲観的に考えがちになる。
司馬遼太郎もそうだったし、晩年に過激な発言が増えた学者もいる。
だから、これが単なる年寄りの心配で終わるなら、それでいい。
自分自身も、楽観より心配に寄る年齢になってきている自覚はある。
しかし、本当に怖いのは別の点だ。
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若い世代を戦場に送らないために
自分の年齢を考えれば、最前線で戦うことはない。
だが、今の若い人たちが戦争に駆り出される可能性は、決して絵空事ではない。
台湾有事が長引けば、自衛隊だけでは人員が足りなくなる。
ウクライナが今直面している最大の問題も、まさに兵士不足である。
そんな状況を、次の世代に背負わせたくはない。
それだけは、強く思う。
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おわりに
祈ったところで、現実は変わらないかもしれない。
それでも、考えることはできる。
正月早々、重たい話で申し訳ないが「ベネズエラが良くなるならそれでいいじゃないか」という単純な話ではないということだけは、多くの人に考えてほしい。
世界は、思っている以上に一本の線でつながっている。
その線の延長線上に、日本と、そして若い世代の未来があるのだから。