はじめに──簡単な自己紹介として
この数日でフォロワーの方がずいぶん増えた。
そこで今回は、あらためて僕が何者なのか、簡単に自己紹介を兼ねて書いておきたいと思う。
僕はもともと広島県庁の職員で30年間勤めていた。
途中で退職し、現在は色んなことをしている。
行政書士としての仕事もしているし、地元のRCCテレビでは、飲食店を紹介するいわゆるグルメレポーターのようなこともやっている。
加えて、自分では「食文化研究者」を名乗っている。
特に広島県におけるお好み焼の歴史については、どのように広がり、どのように変化してきたのかを調べ、文章にした。
その集大成の一つが、『熱狂のお好み焼』という本である。
──とはいえ、「なぜ元県庁職員のおっさんがテレビでグルメレポーターをしているのか」と思われるだろう。
正直に言えば、僕自身も「よくわからない」と思っている。
いろいろあった。
その話を、今日は少し整理してみたい。
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1996年、インターネット黎明期の話
僕が最初に飲食店情報をまとめたウェブサイト「広島快食案内」を作ったのは1996年のことだった。
当時、インターネットに接続している人はごくわずかで、接続といえばモデムを使い「ピーガラララ……」という音を立てながら電話回線でつなぐ時代である。
つないでいる間は電話料金がかかる。
今から考えると、かなり原始的だ。
そもそも、ウェブサイト自体がほとんど存在しなかった。
県庁も役所も、公式サイトなど持っていない時代である。
そんな中で、なぜ個人サイトを作ったのか。
理由は単純で、僕は外食が好きだったからだ。
そして同時に、「どこに、どんな店があるのか」が全くわからない状況に、強い不便さを感じていた。
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店の情報が、どこにもなかった時代
1990年代半ばには、Googleマップも食べログもない。
営業時間も定休日も、行ってみないとわからない。
行ったら休みだった、というのは日常茶飯事だった。
最低限の情報源といえば、NTTが出していた業種別電話帳、いわゆる「イエローページ」くらいである。
多少お金を払えば検索できるサービスもあったが、それでも得られる情報は限られていた。
僕は思った。
「飲食店の場所や業種といった情報は、県民が生活する上で必要な基礎情報ではないか。だったら、役所か、せめて観光協会が出すべきではないか」と。
だが、現実には誰もやらない。
今でこそ観光協会が小規模にまとめている地域もあるが、当時は論外だった。
ならばどうするか。
仕事でできないなら、個人でやればいい。
そう考えて始めたのが「広島快食案内」だった。
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広島快食案内でやっていたこと
サイトには、できる限り実用的な情報を載せた。
- 所在地
- 電話番号
- 営業時間
- 定休日
- 駐車場の有無
さらに、代表的なメニューと価格も書いた。
何がいくらくらいなのかがわかると、店の性格が見えてくるからだ。
そして何より、その情報を得るためには、実際に店に行って食べる必要があった。
当時は今のようにネット上に情報が転がっていない。
だから必然的に、僕が食べた料理の感想、いわばレビューも載せることになった。
これが後に、独自ドメインを取って「快食.com」と名を変えるサイトである。
結果的に、食べログや各種レビューサイトより、10年近く早い試みだったと思う。
全国的に見ても、同種のサイトはほとんどなかった。
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異様なアクセス数と個人サイトの限界
当時の検索は、Yahoo!のディレクトリ型検索が主流で、人間が手作業でサイトを登録する仕組みだった。
その中で、「広島だけやけに飲食店情報が詳しいサイトがある」と、全国的にも珍しい存在になっていった。
結果、アクセス数は個人サイトとしては異常なレベルになった。
1日何万件というアクセスがあり、無料のサーバーでは到底耐えられない。
レンタルサーバーを借り、サーバー代はすべて自腹。
完全に赤字である。
加えて、掲示板を巡るトラブルなども絶えなかった。
それでも続けたのは、「この情報は世の中に必要だ」と思っていたからだ。
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サイトを閉じた理由
しかし、最終的に快食.comは休止し、すべてネットから落とした。
理由は明確で、僕一人の評価や影響力が、あまりにも強くなりすぎたからだ。
僕が高く評価した店の印象が、いつまでも固定化される。
それは、広島の食文化にとって健全ではない。
食べログなどから情報提供の話もあったが、一度渡せば自分で管理できなくなるので断った。
「自分の影響力が残り続けること」が、必ずしもプラスではない。
そう判断した結果だった。
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今、僕がやっていること
現在は、テレビを通じて「自分が本当においしいと思った店」だけを紹介している。
また、舞茸の食べ方のように、「どうすればおいしく食べられるか」という話を書くこともある。
僕は、とにかく食べること自体が好きなのだ。
テレビで紹介している店については、基本的にnoteでは書かない。
例外的に、事業承継された老舗餃子店の話のように、食文化として伝えるべきテーマの場合だけ、文章にすることがある。
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おわりに──自己紹介として
「何なんだ、このおっさんは」と思われたかもしれない。
だから今回は、フォロワーが増えたこのタイミングで、自己紹介として書いてみた。
なぜ僕は、これほど長い間、飲食店レビューや食の話を続けてきたのか。
答えは単純で、食べることが好きで、情報は共有されるべきだと信じてきたからだ。
少しでも面白がってもらえたなら、これ以上嬉しいことはない。