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快食ボイス717・SNSは誰のためにあるのか、という当たり前の話

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はじめに──ワタリガニを食べに行った話から 今回は本題に入る前に、少しヨタ話から始めたい。 先日、ワタリガニを食べに行った。 僕は普段、魚屋で魚介を買うことが多いので、正直に言えば「刺身を食べに店へ行きたい」と思うことはあまりない。 その店でしか成立しない仕立てをしてくれるなら話は別だが、そうでなければ「それなら自分でやれるな」と思ってしまうことが多い。 だが、エビやカニといった甲殻類は別である。 ここであらためて、活かしの重要性を痛感した。 --- 活かしが効く食材、効かない食材 活かしとは、生け簀や水槽で生かした状態のまま保つことを指す。 魚屋に並ぶ魚介は、運がよければギリギリ生きていることもあるが、多くは半死半生、もしくはすでに死んでいる。 魚の場合、生け簀で泳がせておくことには限界もあるし、活け造りのような提供方法を、僕はおいしいと思わない。 残酷さもあるし、今の時代、生け簀を持つ店自体が減っているのも自然な流れだと思う。 だが、甲殻類は違う。 --- カニは「生きている」ことに意味がある カニは、必ず加熱前に〆る。 これはアニマルウェルフェアの観点もあるが、実利的な理由も大きい。 カニには「自切(じせつ)」という性質があり、生きたまま湯に入れると、ストレスで脚を落としてしまう。 すると、その断面から湯が入り、水っぽくなってしまうのだ。 だからこそ、一瞬で〆てから蒸す、あるいは茹でる。 これができるかどうかで、仕上がりは決定的に変わる。 --- 瀬戸内のワタリガニが、今年は当たりだ 今年は、瀬戸内海のワタリガニが比較的よく獲れている。 例年より少し安い……とはいえ、もちろん安くはない。 今は2月。 メスが内子を持っていて、とにかくうまい。 カニ酢など一切不要。 身をほじって、そのまま食べるだけで成立する。 しかも驚いたのは、手がまったく臭くならないことだ。 普通なら、食べ終わったあとにおしぼりで何度も拭きたくなるものだが、それすら必要ない。 ベタつきも、匂いもない。 生きている個体を、すぐに〆て調理する。 この条件が、ここまで結果に出る食材は、そう多くない。 --- どこで食べられるのか、という話 「それ、どこで食べられるんだ?」と思われるだろう。 2月7日(土)昼から、RCCの「ひな壇団」で、その店が紹介される。 メインは別の料理だが、今話しているワタリガニも食べることができる。 実は撮影中、僕はほんの一口しか食べられなかった。 あまりにも悔しかったので、今回あらためて予約して食べに行ったのだ。 それくらい、おいしい。 --- ここから本題──「やっていない店」に振られる話 さて、ここからが本題である。 最近、立て続けに2度、店を訪ねたら営業していなかったということがあった。 どちらの店もInstagramをやっており、事前に確認して行っている。 にもかかわらず、店の前に行くと「臨時休業」と貼り紙があるだけ。 これは、正直かなり困る。 --- SNSをやる目的は何なのか 昔は僕のように遠方の飲食店にわざわざ訪れる人は少なかったが、今や、飲食店をを紹介するインスタグラマーは山ほどいて、僕と同じような行動をとっている。 SNSの目的は、店を知ってもらうことだけではない。 無駄足を踏ませないこと これも、極めて重要な役割だ。 急な事情が起こるのは仕方がない。 体調不良もあるし、事故だってある。 だが、だからこそSNSがある。 情報を出していれば、来る側は必ず確認する。 それをしないというのは「SNSをやっている意味がない」と言ってもいい。 --- 味が良くても、紹介できない店がある 今回振られた店のひとつは、味が良いことを知っている。 それでも僕は、「もう行かなくてもいいかな」と思っている。 なぜなら、そういう店は必ずまた同じことをやるからだ。 そして、もし僕がテレビで紹介したとしても、同じことが起きる。 遠方から、時間と交通費をかけて来たが「やっていなかった」としよう。 これは、視聴者にとって強烈にネガティブな体験になる。 理屈の上ではその店の責任だ。 だが感情としては、「紹介した側」にも矛先が向く。 それは、人間として自然な反応だと思う。 --- 営業日を守れない店は、社会人としてどうなのか 完全予約制なら話は別だ。 予約がある以上、店も責任を持つ。 万が一の事態が起きたとしても、電話番号がある、SNSがある。 連絡手段はいくらでもある。 これは、飲食店に限った話ではない。 サラリーマンでも同じだ。 アポをすっぽかす人間が、信用されるだろうか。 会社に行ったら誰もいない、何の説明もない。 そんな取引先があれば、普通は距離を置く。 一事が万事だろう。 --- SNSは「集客ツール」ではなく「関係構築ツール」だ SNSは、自分が気持ちのいいことを書く場所ではない。 本当は書きたくないことも、書かなければならない。 それは、これから来てくれるかもしれない人との関係を、少しでも良くするためだ。 取引先との約束を守ることができなければ、長く社会と関わりを続けることは難しい。 僕は、そう考えている。
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