日本経済の停滞の真の理由に迫り、適切な処方箋を示すシリーズ企画「河野龍太郎×宮﨑知己 日本経済の死角を衝く」。シリーズ3回目は、「埋め込まれた自由主義」について考察する。戦前のレッセフェール的完全自由主義や戦争を招く要因となったブロック経済化、近隣国窮乏化経済主義への反省から、戦後、世界各国は、ブレトンウッズ体制のもと、多国間主義を採りながらも、国内政策においては保護主義的政策を完全には否定しない「埋め込まれた自由主義」のもと再出発した。1960年代までは、各国で中流階級層を拡大するなど順調に機能したが、経済大国アメリカ合衆国の衰退とともに新自由主義に取って代わられるようになった。新自由主義のもとでは、「株主の利益最大化が経営者の役割」式 コーポレートガバナンス改革が是とされ、従業員は割を食うようになった。中でも日本はレント・シェアリングが適切に行われず、その結果、従業員は賃金が増えず、個人消費が長期に渡り落ち込み続け、国内の所得格差も拡大し、経済の長期停滞を招いた。シリーズ3回目は新自由主義が生み出した歪みに切り込み、今こそ、社会契約に整合的な埋め込まれた自由主義が必要ではないかと提言する。