大手電力会社はバイオマスを既存の石炭火力発電所で「混焼」の形で使っている。植物由来のバイオマス燃料は、燃焼・分解時に二酸化炭素(CO2)を出すものの、植物として成長する過程で大気中のCO2を吸収し定着、いわば「行って来い」の形になっているので、再生可能エネルギーの一つにカウントされている。
これによりバイオマス発電は、固定価格での買い取りという政府の支援のもと、例えば間伐材から作る木質チップや食物残渣、酪農から出る糞尿、下水汚泥を使って発電し、地域に電気や温水の形でエネルギーを供給するという使われ方で、地域地域で、地球環境にやさしいエネルギーの供給、地域の循環経済の形成、雇用の拡大に役立っている。
ところが近年は、計画が甘さや、森林の手入れなどの担い手不足などから、地域で必要な量のバイオマスを調達できない問題が発生。海外から木質系チップやヤシの身の殻を輸入して燃焼させる発電所が多数現れ、地域の循環経済形成という役目を果たさないバイオマス発電所が増加。そうしたバイオマス発電所では、昨今の円安で輸入燃料は高騰が続き、運営が苦しくなり閉鎖に追い込まれるところが多数出てきた。
もっとも、このような状況の中でも、大手電力会社によるバイオマス燃料の石炭火力発電所への混焼利用はなぜかやめようという方向には向かっていない。例えば、中部電力の武豊火力発電所では2024年1月にバイオマスの火災爆発事故が起きたが、設備を修理して混焼を再開する方針。
なぜ大手電力会社は石炭火力発電所でのバイオマス混焼を、利用条件が悪化し採算が悪くなっているにもかかわらずやめようとしないのか。そこにはある特殊事情があった。