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快食ボイス810・アテンションエコノミーの教科書みたいな開店劇

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先日Xに投稿したアテンションマーケティングの話が、じわじわと閲覧されている。 ずいぶん届いているようなので、今日はこの話を掘り下げてみたい。 きっかけは、数日前に開店した豚骨ラーメンの店だ。 この店、開店前からアテンションマーケティング全開だった。 インスタグラムを開くと、いきなり画像の真ん中に「ふざけるな」と書いてある。 いわゆる炎上商法だ。 「すごい火傷をしながら作ったスープなんだ」とも書いてある。 普通の社会人なら何を言ってるのかな?と感じるだろう。 もちろん努力はしなくてはいけない。 だが努力は自分のためにするのではなく、お客様のためにするものだ。 努力が評価されるのは義務教育まで 何かの仕事でプロになろうと思えば、人よりも能力を上げていかなくてはいけない。 タクシー運転手に「昨日始めたばかりなので道がわかりません」と平気な顔で言われたら「いや待て」となる。 それと同じで、ラーメン店をやるならおいしいラーメンを作らなくてはいけない。 どれだけ努力したかが評価されるのは、義務教育までだと僕は思う。 そこから先は「頑張ったね」と褒められることはなく、結果を出してなんぼ。 厳しいといえば厳しいが、社会はそういう仕組みで動いている。 その中で「ふざけんな、俺はこんな火傷しながら仕事してんだ」という調子で出されると「いやいやいや」となって、みんなそこに引っかかる。 これがまさにアテンションマーケティングというやつだ。 注意を引っかけて興味関心を持っていき「そういう人が作っているのはどんなものなのか」と思わせる。 「99%の人が知らない」に手が止まる理由 YouTubeやインスタグラムの動画でも、まったく同じことが行われている。 「知らないと損」「99%の人が知らない」「実は○○だった」。 そういう言葉、めちゃくちゃ多いでしょう。 「99%の人が知らない」と言われると、その続きが見たくなる。 これは人間の脳の仕組みだ。 どの動画も似たような言葉ばかりなのは、どんなキーワードが注意を引くかが解明されているからだ。 料理をゆらゆらっと揺らして撮る映像もそうだ。 何かが動いていると「獲物かもしれない」「敵かもしれない」と思って目が行く。 人間にはまだ野生の本能が残っていて、そこを刺激しているのがこの手法というわけだ。 開店初日に行く人、行かない人 そのラーメン店は、初日から大行列だったらしい。 僕は最初から行く気がない。 というより、元々僕は新しい店には行かないのだ。 新しい店は最初、必ず荒れる。 味も荒れるし、オペレーションも荒れる。 だからある程度時間が経たないと行かない、というのを自分のルールにしている。 ただ、友人で日本ラーメン協会会長の大崎裕史さんは、開店してすぐに行く人だ。 「次々に店が出来る東京なんだから、あえて開店すぐに行かなくてもいいのでは」と僕は聞いたことがある。 すると大崎さんはこう言った。 「初日にその店のいろんなものが透けて見えるんだ」と。 本質的なダメなところも、いいところも、結局初日に全部出ている。 これには納得感があった。 ただ僕の場合は、広島というローカルな場所で食べ歩きをやっている。 首都圏のような超激戦区ではないから、できるだけいい店は救いたいという思いがある。 だから、良い部分が出てきて悪い部分が隠れた時に食べに行くようにしている、というだけだ。 今回、開店すぐに行った人たちが見た荒れた状態も、その店の潜在的な一面なのだろう。 僕がサイレントオープンを勧める理由 僕は飲食店の人から相談されると、いつもサイレントオープンを勧めている。 プレオープンも何もせず、ひっそりと店を開けること。 「あれ、この店いつできたんだろう」と通りかかった人が初めて気づく。 それでいい。 プレオープンをやると、友達を呼んでわーわー騒ぐ。 気持ちはもうそこで弾けてしまっている。 グランドオープンの日に、気が抜けた状態で「いらっしゃい」とやる。 これが良くない。 誰にも知られず準備して、ひっそり開けた店にお客さんが入ってきたら、めちゃくちゃ嬉しいでしょう。 「ありがとうございます、来てくださって」「どうやって見つけてくださったんですか」となる。 このフレッシュな気持ちが失われるのがいけないのだ。 その後辛いことがあっても、知らないお客様が来てくださった時の喜びを忘れないためだ。 最近はプレオープンにインスタグラマーを招待して、いいことを書いてもらうやり方もある。 これもアテンションエコノミーの側だ。 トラストエコノミーという考え方 僕がアテンションエコノミーに対して、僕なりの言葉を作るとしたら、トラストエコノミーだ。 信頼である。 お客さんとの信頼を紡いでいく。 それが飲食店の本道だと僕は思う。 特に今のような厳しい時期になればなるほど、そうだ。 物価が上がっているのに給料は増えず、みんな外食にお金を使わなくなる。 そういう時に「あの店、また久しぶりに食べに行こうかな」と思ってもらえるのは、お客様との信頼関係なのだ。 行ったらきっと「お久しぶりです」と喜んでくれるんじゃないか。 そう思える信頼関係だ。 「お前のやり方は古い。今時はイニシャルコストを1年かそこらで回収して、バーッと稼いでパッと撤退し、また次の店を出すのがビジネスだ」と言われれば、もう「見解の相違ですね」と言うしかない。 僕はそういう店をあまりいいとは思わない。 長い付き合いができる店がいい 僕は若い頃から食べ続けている店が続いてくれていることに、すごくありがたみを感じている。 そういう店は特別だ。 だって思い出がたくさんあるもの。 古いですかね。 まぁ、昭和のおっさんですからね。 でも、そういうのがいいと思いませんか。 深い付き合いでなくても、長い付き合いができる店の方が、僕はいいと思うな。 アテンションエコノミーは人間の本能を刺激するマーケティング手法だ。 ライフハックと言うこともできるのかもしれない。
7日前
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