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快食ボイス815・つけ麺の良さがわからないという方に向けたロジックの解説

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「あの食べ方の意味がわからない」はよくわかる スレッズで見かけた話だ。 ラーメンは好きだが、つけ麺の良さがわからない、という人がいた。 温かいスープに、冷水で締めた麺をくぐらせて食べる。 あの意味がわからない、と。 つけ麺あるあるではあるが、実際そう感じている人は結構多いんじゃないかと思う。 そしてその感覚は、僕もよくわかる。 わからないというつもりが全くない。 むしろ、その気持ちはよくわかるよ、と思う。 ただ、この楽しみ方というか、仕組みを理解すれば、ある程度楽しめるようになるかもしれない。 今日はそういう話をしてみたい。 --- そば、うどんにも同じ仕組みがある これはラーメンの世界だけの話ではない。 そばでもうどんでも、同じような仕組みがある。 一番わかりやすいのは鴨南蛮だ。 鴨せいろ、鴨つけそばとも呼ぶ。 鴨肉は脂身がついているので、ツユは必ず温かい。 もし冷たいツユにすると、鴨の脂身はカチカチに固まってしまう。 鴨の脂は融点が高いので、冷えるとロウみたいになって、全くおいしくない。 だから鴨を使うなら、ツユは温かくなる。 これが鶏ならまだ融通がきく。 ささみや胸肉なら、ぬるいくらいまでは許せる。 だが鴨はそうはいかない。 そこに浸すそばは、通常冷たいそばを使う。 ちなみに昔は温かいそばを浸して食べることもあった。 せいろそばのせいろとは、蒸すための調理器具だ。 元々せいろそばは、そばを蒸して、その温かいそばをツユに浸して食べていた。 今はモソモソするので廃れたが、出している店もある。 山口県萩市に、ものすごい老舗がある。 これがせいろそばか、と国宝の建物を見に行くような感覚で食べに行ったが、非常に面白かった。 うどんなら、讃岐の「ひやかけ」がそうだ。 冷たい麺に冷たいツユが「ひやひや」、熱い麺に熱いツユが「かけ」。 その間にあるのが冷やかけで、冷たい麺に温かいツユをかける。 かけた直後に食べれば、麺の芯はまだ冷たくコシが残り、ツユは温かい。 麺の食感は味わいたいが、冷や冷やは好きじゃない、という人が好む。 讃岐好きの中でも賛否が分かれる、限られた人の食べ方だ。 --- つけ麺は、麺にフォーカスした料理だ つけ麺にも熱盛りがある。温かい麺に温かいツユ。 ただ、つけ麺はラーメンからの派生なので、ツユに油脂がたっぷり使われている。 だからツユを冷たくすることはできない。 ちなみに広島つけ麺は全く別物だ。 植物性のラー油でコクを出し、辛さで補い、野菜をたくさん加える。 同じ「つけ麺」でも、そうめんとうどんくらい違う。 今話しているのは、大勝軒から始まった一般的なつけ麺。 冷たい麺に、チャーシューが入って油の浮いた温かいツユ、という形だ。 つけ麺という料理は、基本的に麺を味わうものだ。 ラーメンがどちらかと言えばスープ寄りの料理なのに対して、つけ麺は麺にフォーカスしている。 麺の比重がすごく高い。 そして、そば・うどん・中華麺、どんな麺でも、麺そのものを味わいたいなら冷たい方がおいしい。 これはどの麺でも同じだ。 温かくして熱盛りにすると、麺はほぐれにくく、くっついて、ブヨブヨしてくる。 こんなことならラーメンを食えばいい、となる。 麺が冷たいと、表面がつるりとして、コシがしっかりある。 --- なぜ冷たい麺を温かいツユに入れるのか ここが本質だ。 つけ麺のツユには油脂が浮いている。 この温かいツユに、ある程度太い冷たい麺を入れる。 すると麺の周囲でツユの温度が下がる。 油は温かいとサラサラだが、温度が下がると粘りが出る。 ゼラチンも同じだ。 ラーメンの一種だからツユにはゼラチン分もしっかりあって、これも冷えると粘って絡みやすくなる。 麺を持ち上げると、その周りに油脂やゼラチンがよくまとわりつく。 ただし冷えすぎると固まってしまうので、そこまでは下がらない。 温かいツユと冷たい麺が出会って、ぬるい状態になる。 このぬるさだからこそ、ツユそのものを麺が持ち上げる。 温かい麺に温かいツユだと、ツユが滑り落ちてしまう。 太い麺を味わうときに、麺へツユが乗らない。 だから冷たい麺なのだ。 ラーメンとは設計図が全く違う。 ラーメンのロジックで理解しようとすると理解できない。 つけ麺はつけ麺のロジックで理解しないといけない。 --- ラーメンはまだ、発展途上の料理だ 正直に書くと、僕自身はつけ麺がそこまで好きというわけではない。 ラーメンに限らず、僕はあらゆる料理でスープ系が好きなのだ。 我ながら汁物が好きだと思う。 だからラーメンの方が魅力的に映る。 ただ、ラーメンはまだ発展途上の料理だ。 これからもっと発展していくと思うが、麺そのもののおいしさという点では、まだそば・うどんの域には達していない。 そば・うどんには、ざる、もり、せいろと、麺だけを味わう食べ方がある。 だがラーメンには、ざる中華麺のような食べ方がほとんどない。 出す店もたまにあるが、少ない。 原価的にも、圧倒的にスープ側にお金をかける構造になっている。 その力点を麺の方へ移そうとしているのが、つけ麺なのだ。 この延長線上に、ざるそばやざるうどんのような、ざる中華麺が出てくる布石になるのかもしれない。 ラーメン業界の人たちは皆ものすごく研究熱心だから、出てきても全くおかしくないと思う。 つけ麺もまだ、生まれて50年ほどの料理だ。 これからまだまだ発展の可能性があると考えている。
7日前
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