【前回の深掘り】"伸ばす力の高い先生"をどの様に測るのか?
陸上部で考える「付加価値」の仕組み。
前回(第80回)ご紹介した、約100万人を20年間追跡したチェティ教授らの研究。「テストを伸ばす先生に出会うと、大学進学率も大人になってからの収入も変わる」という内容でした。
そもそも、先生の"伸ばす力"をどうやって測るのか?
今回は数式を一切使わず、この研究の設計思想を「陸上部のコーチ」に例えて解説しました。
A中学の部員はみんな100mを13秒台、B中学は16秒台。1年後、Aは平均13秒0に、Bは15秒0になった――さて、優秀なのはどちらのコーチ?
この例えから見えてくる、付加価値(Value-Added)研究の3つの考え方:
・点数の高さではなく「伸ばした量」で見る――もともと速い子が集まる強豪校の場合、コーチの能力による成果とは言えない
・同じスタート地点の子と比べる――16秒の子と13秒の子では1秒縮める大変さが違う。だから家庭環境や前年度の成績など、同じ条件の子たちの"平均的な伸び"との差を見る
・ 1年だけの好成績は割り引く――たまたま力のある学年だったかもしれない。データの積み重なった先生ほど数字を信用する
数百万人×約20年のデータがあるからこそ成立する測定手法です。もちろんこの物差しにも限界はあり、あくまで一つの側面ではありますが、日本にはまだ存在しない規模の研究がどう設計されているのか、その裏側をぜひ知っていただきたい回です。
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