「僕の帽子のお話」(後編)有島武郎
(あらすじ)
僕の家から転がり出た帽子は逃げて行き、追いかけてきた僕と一緒に学校の鉄の扉を突き抜けて教室にはいりました。
ふと気づくと帽子がいません。慌てて教室を飛び出すと、広い野原に来ていました。真暗な空には僕の帽子が黒い月のように高くぶら下がっていました。
暗くなっていく野原で呆然としていると、帽子は狸が化けたものではないかと思えてきました。
その時、僕のおとうさんとおかあさんが僕を探しているのに出会ったのです。でも二人は僕に気づいてくれません。
二人に気づかせるには、あの帽子に化けている狸おやじを征伐するより外はない!と僕は跳ね上がったのです。…
〈ミニ辞典〉
・レデー・オン・ゼ・マーク…ゲッセット…ゴー
=Ready,on the mark,get set go!(位置について、用意、ドン!)
・力みかえる=威張りかえる。
1922(大正11)年6月『一房の葡萄』(叢文閣)に収められた童話
https://www.aozora.gr.jp/cards/000025/files/203_20492.html
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