「ガザ・モノローグ」からアリー・アブー・ヤースィーン作、山口勲訳「戦争は終わるだろう!」を読みました。
〈語彙解説〉
※ナクバ=アラビア語。大惨事、大災厄。
パレスチナでは1948年のイスラエル建国宣言に前後して、故郷や居住地を追われた75万人のパレスチナ人が難民化した出来事を指す。今回2023年のイスラエルによるガザ侵略を「第2のナクバ」と呼ぶ。強制移動と虐殺、居住地の無人化と破壊、民族と文化さえ破壊するジェノサイドと見られている。
6月から続けてきた「ガザ・モノローグ」の7本目、これを以てモノローグのシリーズを終了します。
まだ戦争は終わらない。状況は悪化していく。
モノローグにならない声はもっとたくさんあるでしょう。
「戦争は終わるだろう!」と2023年12月31日のモノローグは高らかに言うのです。高らかに、明るく。
しかし読み進むうち、「終わる」のは「地上」での現実であって、人間は決して元には戻らないし、記憶と心と魂では永遠に終わらないという絶望的な「断言」を聞くのです。
永遠に終わらないことは80年前の戦争からも伝え続けられていることです。でも、繰り返される。収拾されることなく広がっていく。
このモノローグは言います。
「私たちに残されたのはただ待つこと。この戦争が終わる日を、残りの人生をゆっくりと死に向かって歩める日を。」
死は本来、突然、無理やり、暴力的に訪れるものではなく、ひとりひとりの人間がゆっくりと納得して歩んでいくところなのですね。たとえ長さは違っても。それを奪う権利は誰にも無い。
ガザ・モノローグが教えてくれた世界の「いま」、また学ばせてくれた「伝えるための朗読」に感謝しています。このシリーズの朗読は終わりますが、戦争の終わりまで関心を失うことなく、目を向けていきたいと思っています。
※作者のヤースィーン氏は「ガザ・モノローグ」を企画したアシュタール劇場の俳優・演出家。2023年からのモノローグはヤースィーン氏の創作が中心になっています。
https://gazamonologues-jp.com/
https://www.ashtar-theatre.org/
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