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快食ボイス666・身体に馴染む酒とは?美和桜の酛摺りを体験した

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生酛造りの現場 広島県三次市にある 美和桜酒造 を訪れた。 生酛造りの初期工程に 「酛摺り」 という作業がある。 蒸した米に水分と酵母を加え、桶に移し、貝のような形の道具で擦り潰していく。 体重を預けながら押しつぶすように練っていく作業だ。 この酛摺りを体験してきた。 僕は今、日本酒を飲む時、ほぼ 生酛造り を選んでいる。 その延長線上に、現場を知りたいという興味があった。 杜氏をやっているのが中学時代の同級生、金尾なので話が早い。 --- “硬い米”との格闘 今年の仕込み米は、例年以上に硬いらしい。 三桶あった中でも、一番硬い米を僕に任せてくれた。 「お前は難しいのが好きじゃろ」というやつだ。 押し込む力というより、道具を握る手の握力が奪われていく。 終わった後に蔵人さんが「今年のは過去一です。しかも今日はその中でも最硬」と言われていたので、まあ貴重な体験だった。 酛摺り後の状態は、麹が混ざった栗のような甘さがあり、思った以上に柔らかい香りがした。 --- 生酛が体に馴染む理由 生酛は、乳酸を自然発酵で育てていく昔ながらの製法だ。 対して現代主流の 速醸(そくじょう) は乳酸を添加するため、手間も期間も短い。 僕が生酛を選ぶ理由は、味以上に 身体の馴染みの良さ にある。 酔いが早く穏やかで、心と身体がふわっとほぐれる。 ウイスキーのような覚醒系の酒とは違い、早い段階で「もう十分だ」と思える。 食事によく合い、翌日に残らないのもいい。 なぜそうなるのかはまだわかっていないが、今日現場に立って、複雑な工程で生まれる糀や乳酸の生命感が関係しているような気がした。 --- 美和桜「御結」との出会い 生酛を飲み比べてきた中で、とりわけおいしかったのが美和桜の 「御結」 だ。 金尾に「これ旨いな!」と伝えると「酛摺りに来るか?」となり、今日に至った。 --- 生酒のR5・R6 帰り際、何か面白い酒はない?と訊くと、R5とR6の生酒 があるとのこと。 市場に出回るほとんどは火入れなので、生酒は珍しい。 まだ飲んでいないが、どんな味わいなのか楽しみだ。 --- 終わりに 酒はただ飲むだけでも楽しいが、日本酒の場合、身近で造られているので実際に現地を訪れ、背景や思想に触れることができる。 それらがどのように、味わいに繋がるのか。 酔うためだけに飲むのではなく、そこに好奇心が加わると一層楽しい。 酒の理解もやはり、現場、現物、現実が大切なのだ。
6日前
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